
皆さんには"自分にとって特別なマンガ"がありますか?小学生の頃、「お前ちょっとおかしくなったんじゃない?」と読後に言われた
「すごいよ!!マサルさん」、マンガの世界にのめり込むきっかけになった
「うしおととら」を始めとする藤田先生の素晴らしい作品や、
4章開始が何よりも待ち遠くて、既に生きる目的の1つになっている
「マテリアルパズル」などなど…
私にとって、これらの作品がその"自分を変えてくれたマンガ"であり、
これからどんな事があっても自分を支えてくれるんじゃないかな、と思えるものです。
(大袈裟じゃなく、なんで生きているか考えた時に
「来週のジャンプが気になるから死ねない!」と本気で思ったりするバカです。)
そんな風に、これからの人生を共に歩んでくれるような、
自分にとって特別な意味を持つマンガにはそうそう出会えるものではありませんよね。
正直言うと、藤田先生と土塚先生の2人に匹敵するくらい素晴らしいマンガ家さんには
これからしばらくは出会えないんじゃないかな、と思っていたんですが…
久々に「これは!」と思える作品に出会うことができました。
それが今回レビューする、中村光先生の「荒川アンダーザブリッジ」です。色々余計な事も言いたいのですが、それは紹介が終わってからにしますね。
ではでは、レビューいってみましょう!
※ベタ褒めしていますが、大きく分けるとギャグマンガに属する作品なので、
好みが分かれるでしょうし、何よりも上手く魅力が伝えられていないと思います。
できれば他のサイト様の評価も参考にしてみてください。
「他人に借りを作るべからず」20年間そう教え込まれて育てられてきた男・市之宮 行(いちのみや こう)は
荒川の橋の上に堂々と立っていた。そして、
「俺はその教えを守り通してきた事を誇りに生きてきた。そしてこれからも…」
いつものように、そんな事を考えていた。
いつものように、上半身にはスーツを輝かせ…
下半身はパンツ一丁で。荒川に巣食う悪ガキにズボンを奪われた行は
「誰かに借りを作られる前に。そしてこんな姿を目撃される前に!」
と、危険な所に吊るされたズボンを救出に向かう。
が、そんな切ない願いは届かず、その奇行を1人の女性に見られてしまう。
そして、色々な意味でピンチな行に向かってその女性は言った。
「手を貸してやろうか?」と。
己の最も望まぬ言葉を口にされた時、行の頭に浮かんだのは幼き頃の思い出…
3歳の時に、赤子の頃の借りを返せと言ってきた父親。
それを受け入れて育ち、誰の手も借りずに育ってきた自分。
「俺は誰にも借りを作る訳にはいかないんだ!!」そう言い張り、彼女を拒絶した瞬間に待ち受けていたのは予期せぬハプニング。
行の上っていた鉄骨が柱を離れ、彼を伴って宙を舞った。
川に落下した行は鉄骨の重さに押され、瞬く間に沈んでいく。
「誰か…!!」
心の中で必死に叫んだ行を助けたのは…先程の女性だった。
生まれて初めて作ってしまった"借り"に行は戸惑う。
それは「命を救われた」を救われてしまったという大きな大きな借り。「何とかして今すぐに返さねば。」
できる限りの恩返しをしようと必死になる行の様子を見て彼女は困惑しながらこう言った。
「この星では欲しい物があると人を助けるのか?」彼女の口から出たのはまたしても彼の望まぬ言葉。
「何もいらないなんて言うな…!!」
必死になる行はみるみる顔色を悪くしていく。
"市之宮家の人間は他人に借りを作ってしまうと喘息になる"
という奇妙な体質を持っていたのだ。
死に物狂いで恩返しを求める彼を見た彼女は何かをふと思い出した後、こう口にした。
「一つない事もないぞ」
「私にー」

「恋をさせてくれないか」その出会いは、必然。僕らの恋は、この荒川の橋の下で始まるー
という感じで始まるこの物語、
初めて見た方は「え?どこがギャグマンガなの?」と思ったでしょう。そうなんです。
ただのギャグマンガで終わらないのがこの作品の凄い所。バカみたいに笑ってたら不意に真面目なシーンが入ってくるんですよ。
(逆もまた然りで、来るぞ来るぞ…と思ってたらいきなり噴かされる事もしばしばw)
でも、ここで「このシーンがいいんですよ!」って言っても伝わらない気がするので、
皆さんの目で確認して欲しいと思います。
が、一言だけ↓
途中で「あぁ、これは合わねーわ」と思っても、
33話「いせいかんこうりゅう」までは絶対に読んでください。
ここまで読んで合わないなら本当に合わないんでしょうけど、
これ以前で挫折するのは勿体なさすぎますよ。
そんな唐突なシーンに心を動かされるのは、急にシリアスになるからではなく、
ギャグ回でも何気なくフリをしてたり、
バカやってる中でも確実にキャラ同士の絆を深めているからなんですよね。
この辺は笑いっぱなしでつい見落としがちなんですが、
中村先生の構成力の高さが光ってます。
ギャグは外せないんですが、この方はストーリーだけでも行ける!って思っちゃいます。
あと、構成力の高さを挙げるならば、
単行本の巻末に載っているX話シリーズは外せません。
図らずも毎回ゾクゾクさせられます。
たった4ページなのにこんなにも心を震わされるのは
中村先生の込めたメッセージに共感してしまうからなんですよね。
ここだけでも単行本を買った甲斐がある気がするのは私だけでしょうか。
とかなんとか言ってシリアスパートを絶賛しましたが
勿論ギャグパートも最高です!!(あらすじを書いた2話で既にギャグ全開なんですが、
力量不足で全然上手くまとめられませんでした。すいません。)
どう考えても逃げてるだけなんですが、
私の技量ではどうあがいても作品の持つ独特の空気を伝える事ができないので
軽めのキャラ紹介をする事で作品の持つ"笑"の部分に代えさせてください。
作品を彩る強烈なキャラクターたち。
彼らに何かを感じたら貴方はもうこの作品の虜になっているはずです。
では、ネタバレしすぎない程度にキャラ紹介を。
-リク(市之宮 行)-
この作品における唯一の常識人…だった。
命の恩人であるニノと出会った事で荒川の橋の下の住人となることに。
当初は橋の下に住む事も、住人と打ち解ける事も乗り気ではなかったが、
日々を重ねる事で自然と荒川での生活に慣れ、ニノの事も本気で愛するように。
つっこみ担当。もちろん主人公なだけあって、シリアスパートでも存分に活躍しますよ。
彼が一生懸命になるシーンはどれも涙を誘います。
ニノだけじゃなくて、住人に対しても優しさを見せるシーンは最高ですな。
リクという名前はある言葉が縮められたものです。
その衝撃の由来はご自分の目で確かめてみてくださいw
-ニノ-
自分の事を「金星人」だと言う、だいたいいつもジャージの女性。
魚を素手で取るのが得意。そしてそれを客人に食わせるのも得意。
時折見せる悲しげな表情の真意は…?
謎多き神秘的な女性…ではなく、どこか間の抜けた感じが可愛いヒロイン。
どのキャラも大好きなんですけど、私はニノが一番好きです。
これから悲しい展開が待ち受けてそうですが、
物語の最後には彼女に笑っていてほしいと思います。
-村長-
荒川の住人たちを統率する男。
肌の色で差別を受けており、それを嘆いている。
並々ならぬ人望があり、皆彼のことを心から慕っている。
これは画像を貼ったら負けかな、と思ったんですがこれなら大丈夫だろう。
初登場シーンはぜひ盛大に噴いてくださいw
-星-
星と呼ばれている男。
彼もまたニノを愛しているのだが、それには深い訳があったりする。
実はその正体は…?
ウザいんだけど憎めないキャラ。リクよきライバルとして色々頑張ってくれています。
にしても、このマンガは正体バレやら初登場時のインパクトがスゲーなとつくづく思いますw
-シロさん-
ある事にこだわる男。それさえなければ普通の人…たぶん。
いや…どうなんだろう……普通の人かな?w
スーツが似合うから普通の人なのかな…
-シスター-
毎週日曜のミサを担当するシスター。誰が何と言おうとシスター。
彼もまた、とてつもなくいいキャラをしてます。こんなシスターいるわけねぇ。
が、やはり本領発揮はマリアさんが出てきてからですね。
いやー、この記事は画像貼りがムズかしいなw
1巻で出てくる主なキャラクターはこんな感じです。
2巻からも個性的な住人が増えるので、もっともっと好きなキャラができますよー。
あんまり魅力が伝わらなかったかと思いますが、
正直、今年のランキングは「月光条例」がブッチギリだと思っていたのに、
この作品を読んでかなり揺らいでいます。
冒頭で言った通り、藤田先生、土塚先生に並ぶ勢いで好きになってますし。
(中村先生美人だしね。今度のサイン会は東北でやってくれないかな…)
しかし、今にも7巻が出そうな時にようやくこの作品に出会ったのは悔しいです。
連載初期のファンの方は「何を今さら…」と思っているに違いない。
連載が始まった時期に戻りたいとか、色々思う事があるんですが、
ここで言っても仕方ないので忘れます。うん、今読めたからよしとしよう。
そうなんです。
4月下旬には7巻が発売しますよ!!(唐突な)
こういう感じのレビュー系記事はできないかもしれませんが、
簡易感想くらいは書きたいと思ってます。
私の記事なんか全く意味無いと思うんですけど、
一人でも多く「荒川アンダーザブリッジ」を手にしてくれる事を心から願ってます。
月並みな言葉ですが、本当に面白い作品に出会えたな、と。
3行上の言葉と矛盾してるんですが、
この記事で何か思う事があれば手にとって欲しいです。
住人たちの面白おかしい日常と、リクとニノの切ない恋。
笑いあり、涙ありの「荒川アンダーザブリッジ」は今後も要注目です!!