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「惑星のさみだれ」 "ライバル"東雲三日月について

【2010年12月更新の再掲です】

 「惑星のさみだれ」の主人公・雨宮夕日の仲間でありライバルでもある東雲三日月についての話。
9巻時点までだと「ライバル」というポジションで見た場合、イマイチよくわからないキャラクターだったんですが、最後の最後で腑に落ちたので、自分なりにまとめてみます。

○壁として立ちふさがる「ライバル」

「お前が お前の運命が兄貴を殺したんだからな
お前は兄貴より運命的に強い
兄貴より強いお前を越えればいいんだ
兄貴の運命に背中を押されお前は生きた
お前の運命が兄貴を喰ったんだ!! 」

水上悟史「惑星のさみだれ」2巻 199,200ページ

 東雲三日月が「惑星のさみだれ」に登場したのは2巻の終わりです。
彼は、夕日を救う代わりに命を落とした東雲半月の弟であり、超えられなかった兄よりも「運命的に強い」と認めた夕日を標的に定め、また、ヒロインのさみだれに恋をすることで「ライバル」としてのポジションを確立します。
しかし、三日月はまず、戦闘の意思を見せない夕日ではなく南雲に挑みます。

 兄貴よりも「運命的に強い」男が乗り気ではなかったことが大きいとは思うのですが、たぶんこの辺りの三日月は兄を失ったことで動揺していた部分が少なからずあり、また、「強い大人」(≒いなくなった半月の代わり)と戦うことで自分の強さを証明したかった部分もあるのかなと。
(南雲に敗北した後、3巻50ページで「遊びだけど大マジメだっつーの」と言っており、決してふざけていただけではないのがわかる気がする)

 中盤からの夕日が、序盤からは想像もつかない良い笑顔を見せて周りをいい意味で変えていくという本質を見せたように、三日月も中盤からの良い兄貴キャラが本質だったと考えると、序盤の不可解な行動は納得できるのかなというのが今の自分の考えです。
「ライバル」として夕日と対比されているなら、序盤はまだ「子供」であり、未熟な部分を多く露出させていたのは意図的なのでしょう。たぶん。

6巻39話で11体目が半月に化けた時の反応がヒントかな。夕日より先に攻撃を仕掛けています。
 尊敬して止まない兄に化けた泥人形の「顔」を蹴る三日月はどういう想いだったのでしょう。


「あらら。弱っ
(中略)
なーんか、心技体がバラバラっつーか… 」

4巻 138,139ページ

 少しの後に、夕日は天才・半月の武術を継承したのを知り、それがきっかけで三日月と一対一の決闘をしています。
初めての2人の対決は、心技体がバラバラの夕日に、既に「自分の戦い方」を会得している三日月が圧勝するという結果に終わっています。
(ここで三日月は「ゆーくんはゆーくんなんだから」と助言をしており、これが後の7巻の再戦や、VS半月での「でもそれはあなただ。ぼくは~」というセリフからわかるように、夕日にとっての「自分の戦い方」を確立させたきっかけとなっているのが熱いのですが、それはまた別の話。)

 技術、体術は互角なのに、心の部分において夕日は「弱っ」と言われるほど劣っていました。
せっかく三日月がライバルとして出てきてくれたのに、序盤は夕日の方が追いつけていません。
これをきっかけに夕日はどんどん強くなり、三日月もまた強くなっていくのですが、これからしばらくは2人の決闘はあまり描かれません。4巻では他の騎士団の掘り下げに充てられていますし。
 そう、この時点では夕日が弱いため、お互いに高め合う関係ではない「ライバル」ではないんです。
2人とも半月の影を追っているとでも言えばいいのかな。
夕日は見ればわかるし、三日月もライバル認定した辺りでは完全に捉われていますし。
まあ、一緒に酒飲んだりして仲間としての付き合いはかなり多いんですが。


○東雲半月を通じて

 5巻序盤(物語中盤に入った頃?)の三日月の行動は、戦って面白そうな敵の方へ1人で勝手に行く、戦いを「遊び」感覚で行うというようにまだ未熟な部分が抜けていません。
そんな中で

101201-2.jpg

5巻 68ページ

 半月譲りの「方天戟」を発動させた夕日を見た時に三日月はこのような反応を見せています。
これが後の方天陣のきっかけになっているんですが、この表情を見るに、徐々に強くなる夕日に対して思う所があったのかもしれません。
「ライバル」として夕日を見ているのは、ざっと見た感じ5巻ではここだけでした。

 この後、夕日はアニマ覚醒(さみだれのわずかな変化?)に手を貸しており、自身の精神もさらに一回り大きくなっています。
が、やはり2人の直接的な接触はメシ、飲みであり、戦いを通してのやり取りは少ないように思えます。
幻獣の騎士となった南雲に関心を寄せるという共通点は一応ありましたが、目的の為にどうしても強くならなくてはいけない夕日と、強くなれるだけ強くなることが目的の三日月では、線が交わることはそうそう無いのも当然と言えば当然なのですが。
それに、まだ三日月に対して闘志をむき出しにして来ない夕日は眼中には無いのかもしれません。

「アニキ…こいつぁあんたの発想だろ
ゆーくんを経て、受け取ったぜ!!
戟軍・封天陣ッ!! 」

6巻 80,81ページ

 この技が初登場した戦い(VS9体目)において三日月の戦い方が転機を迎えたように思えます。
利己的な戦い方をしなくなったと言えばいいのかな。
兄が遺した物をようやく受け取り、三日月も夕日のように一回り大きく成長したと解釈できるのかもしれません。

 転機を迎えたのは間違いないんですが、この変化は急すぎないか?というのが疑問でした。
しかし、前回の戦いで南雲の「守る姿」を見ていたことで感化されたと考えたらどうだろう、と書きがながら思いつきました。
これが真実ではなかったとしても、ここでの三日月覚醒で重要な点は、この戦いで日下部太朗の死亡を知る前であることかなと思います。
つまり誰の死をきっかけにするでもなく自発的に変化を迎えたのが、三日月が誰よりも「運命的に強い」ことの証明の一部になっているのかもしれないなと。
「ライバル」の夕日は半月の死がきっかけであったことを考えると、こういう部分でも対比になっているのかも。
(本心は「幻獣の騎士のそーちゃんを助ける俺ってつえー」とか、そんなことだったのかもしれませんが)

 戦い方の変化がわかるのは、9体目再戦時の「おれが切り込んで目を引く。後は任せるぜ(6巻 177ページ)」というセリフなんかを見ると一目瞭然です。
自分が一番活躍しようとする以前の三日月では無くなっています。
ただ、ここは太朗死亡後なので判定としては微妙なんですけど。でも、最初の変化が死亡前に見られたのは夕日と比較する時に重要な要素にはなりそうです。

 という感じで、中盤では夕日と三日月が切磋琢磨する様子はあまり描かれていません。
「獣の騎士団」というコミュニティについて掘り下げるターンであったのが大きいところですが。
2人とも成長しているのはバッチリ伝わってきますし、自分でまとめてみて三日月の運命的な強さが描かれていたのは大きな発見でした。


○二度目の決闘、そして終わる1つの「物語」

「三日月。今週末やろうか」
「何を?」
「決闘。二度目のな」

7巻 35ページ

 三日月の話で、半月の偉大さを改めて知った夕日は二度目の決闘を挑みます。
結論を言ってしまうと、今回は心技体が揃った夕日が勝利するのですが、気になったのは決闘前の以下のシーンです。

101201-4.jpg

7巻 38ページ

 何度も戦わなくてはいけないと言い、ここで三日月は夕日にとっても「ライバル」になります。
が、もう戦いは大詰め。これからの後、2人が決闘する余裕はなく「惑星を砕く物語」は終了してしまいます。
一体このセリフは何だったのかと。
そして、「ライバル」である三日月がVS夕日に参加すらできなかったのはどういうことなのかと、雑誌掲載時には思ったものです。

 一方、兄貴キャラとしての三日月は7巻以降で不動のものとなります。
昴から好意を寄せられているので、矛盾コンビと一緒にいるのが多くなったことに加え、太陽との接点が増えることで「お兄さん」的な役割をしていることが多くなりました。
作中の言葉を借りるなら「大人」として子供組を一番近い位置から引っ張っています。
夕日と一緒にWヒーローとなるシーンなんかは、序盤の狂気はどこへやらと言った感じです。
戦闘においても、夕日が1対1で半月を倒した一方で、VSでは11体目矛盾コンビとの合体攻撃を編み出す、VSアニムスでは身体を張って子供達の盾になるというように、単体での活躍、特に撃破の役割が回ってきませんでした。

 それと、ライバルであることを念頭に読んだ際に気になったのが以下の点です。
「ライバル」の内訳に「さみだれに惚れた者同士」という項目があり―

101201-1.jpg


 思いがけず出た一言は夕日が肯定するほどでした。
つまり、夕日と三日月は、さみだれの同じような部分(危うい強さであったり、アンバランスさなのかな)に惹かれています。
それを証明したにも関わらず、さみだれが地球破壊の野望を抱いていることに他の皆と同じように気づいていなかったのが疑問でした。
ライバルなのにそれでいいのかと。
何かパっとしないキャラクターだったなと思ったわけです。
しかし……


○生涯の「ライバル」

 ようやく本題。
「東雲三日月は雨宮夕日のライバルである」と考えた時に、足りていない点があることは見逃せません。
これからも何度も戦い続けると言ったのは何だったのかと。
「殺されてもいい」とまで言いながら、さみだれのことを全く理解できていなかったのは何故なのかと。
しかし、「惑星を砕く物語」が終わり、エピローグに突入した時に、自分は東雲三日月というキャラクターを軽く見ていたことに気が付きました。

101201-3.jpg

 作品ラストバトルはまさかの「ライバル」の戦い、雨宮夕日VS東雲三日月でした。
三日月が微妙な扱いだったのを受けていたのが気になり、雑誌掲載時から「もう1回くらい活躍が残っていたらいいな」と思ってはいたのですが、最後の最後でこれは予想外であり、この展開を読んだ時に三日月への認識が180度変わりました。
自分の読み方が「惑星を砕く物語」という枠内でしかキャラクターを見れていなかったのだなと。

 また、この戦いの中で三日月はあるキャラから「肉体も心も運命も誰よりも強い」と言われます。
(「運命が強い」というのはこの更新で最初に引用した部分(三日月のセリフ)を受けての言い回しでしょう。こんな所まで拾ってくるのかと驚きはしたんですが、それはまあいいです。)
このセリフを受けて少し話を遡り、VS夕日の1シーンを見てみます。
アニムス戦で大ダメージを受けて既に戦えなくなった三日月が、夕日を阻止せんとする南雲と白道さんを見て言ったセリフがこちら。

101201-5.jpg

さみだれは視界に入っていない

 ここで三日月が言ったのは「夕日(と姫)を止めるのは自分でありたかった」というものでした。
(「あそこにいたかった」と言い、見ている先に姫はいない=姫の側に付きたいとは全く考えていない)
たとえ姫に惚れていても、あくまで「止める側でありたい」と思えるのが三日月の強さなのだなと。
「楽しそう」と言っているので、夕日と戦うのは自分であるとも受け取れるんですが、これは三日月の心(あるいは運命)の強さを象徴したシーンの1つなのではないかと解釈しました。
上手くは言い表せないんですが、主人公、ヒロインに次ぐ3番目のポジションにいる味方キャラクターが、ここまで真っ直ぐな奴でよかったとかそんな感じです。

そして、戦いの結末や、(何気に「フェイントに弱い夕日」の伏線を拾っていたりする。夕日の戦闘スタイルである「思考」の隙を突いたとも言えますが)
最終回で明かされた「対戦成績」まで見ると、三日月は「惑星を砕く物語」におけるライバルキャラではなく、雨宮夕日の人生におけるライバルであるんだなということがわかるわけです。
「何度も戦う必要がある」と言ったのは人生単位の話で、別に1つの大きな戦いの中に限った話ではなかったのだなと。
この2人の「生涯のライバル」の関係があることで、最終話の「ぼくらの人生は続いている」というモノローグの説得力が段違いだと思いますし。
(「これが無かったら説得力が無いのか」と言われれば、そんなことはないんですけど)

 多くの伏線回収がある「惑星のさみだれ」の中で、(連載中ずっと気になっていたのもあって)この2点の繋げ方が一番印象に残っています。
「何度も戦う必要がある」と事前に言ったくせに肩透かしだと思われたのが、実はそれが「これからの物語」における要素だったのが意外であり、こんな繋げ方があるのかと感心しました。
もっと言うと、この点が引っ掛かったからこそ、自分は最後の最後で三日月を大好きになれたんだと思います。


 長々と書いてきて言いたかったのは三日月が大好きになりましたということです。
(この気持ちのまま最終話読み返したら、髪型で連想させる人物がいて、更に好きになりました。)
ラスト数話で三日月は自分の中では、ライバルとしてこの上ないキャラになりました。
「惑星のさみだれ」が終わっても彼らの人生は続いていくんだなと思わされる最終回だったんですが、それ以前の描写も含めて考えると、東雲三日月が作中で一番それを体現してくれているのではないかなと。
物語ではなく人生のライバル。東雲三日月は素晴らしいキャラクターであると断言します。

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