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「鋼の錬金術師」 ホムンクルスの生き様‐ラスト編‐

 「鋼の錬金術師」に登場する人造人間(ホムンクルス)の一人「色欲」のラストについての話。

 完結してから読み返すとホムンクルスは"名前と逆の要素"を持っているのではないか?と思うようになったので、まずは最初に退場したラスト姐さんについてまとめてみます。

 ホムンクルスは
1:名前=本質が作中で明確に表れている
2:「名前」に関連する要素で人間を見下している(もしくは、自身を高位に位置付けている)
3:名前と逆の要素も持っている
 この3点を共通点として持っている、という前提で話を進めていきます。

 例えば、わかりやすいグラトニーだと
・名の通り暴食である
・人間を食べる(食糧=下位と捉えてよい?)
・最期はプライドに「食われる」
 こうなっています。

○「色欲」の本質

 いきなり行き詰まりました。「色欲」っていったいなんでしょう。何となくのイメージは湧きますが、詳しくはわからないので yahoo辞書の力を借りました。それによると

1 男女間の性的な欲望。情欲。
2 色情と物欲。
3 仏語。感覚的な欲望。
 
 こんな感じ。どうやら「性欲」絡む、そのままの意味でよさそうです。
そういうシーンが無いか探してみたんですが、少年誌なせいもあってかラストの本質「色欲」を明確に表した場面は見つかりませんでした。
(「ハガレンクロニクル」によると、少年誌でラストを活躍させるのは難しかったと荒川先生が仰っているので、描かれていない場面で頑張っていたのかもしれません。見たかった。)
 
 作中で該当するシーンはここかな、ということで1コマ紹介。

100821-3.jpg
(コミックス版10巻・37ページ)

 ハボックは確かにエロさに誘惑されているんですが、「肝心なことは喋らなかった」とラスト自身が言っていたようにハボック(人間)は「色欲」に打ち勝っているので、ラストの特性が100%活かされたとは言えないのかなとも思います。
そういう意味で「辛うじて」と表現しました。

 自身の立ち居振る舞いが名を表すことになるなら、作品内で一番エロい身体つきをしているというのが落とし所になるのかな。

○ラストから見た「人間」

 「本質」がややブレましたが、残りの2点はしっかりと説明できそうです。
2点目と3点目は繋がっている話なのでまとめて説明してしまいましょう。

 まずは人間の評価について。

100821-1.jpg
(コミックス版2巻・67ページ)

 人間から進化した存在・ホムンクルスであるラストは、リオールの暴動を眺めながらこう言い放ちました。
「人間は愚かで悲しい生き物だわ」と。
人間を「愚か」だと評し見下していますが、それだけではありません。
何故か「悲しい」とも言っており、同情しているような素振りを見せています。

 この「悲しい」と言ったことが、ラストが人間に対して同情と憧れのような感情を持っていた証明なのではないかなと。
ということで、ここから3点目についても交えていきます。

 冒頭で書いた前提によると、ラストは「色欲」というフィルターを通して人間を見下していたことになります。
が、それだと意味がわかりません。
卑下する人間を相手に欲情していたなんてことはもちろんありませんから。

 いまいちしっくり来ないので見方を変えます。
まず、「色欲」というフィルターを通して、というのを
「色欲」というフィルターを通して"しか"人間を見られないに変換します。
そうすると、少々理論が飛躍しますが、「愛情」を知っているから人間は「悲しい生き物」であるとは考えられないでしょうか。
「色欲」だけで相手との関係を割り切ればいいのに、「愛情」を求めるから余計な感情が生まれて弱くなる、つまり、ラストにとっては「愚かで悲しい生き物」に見えるということです。

 ハボックが欲望に打ち勝ったことと矛盾している気がしますが、
(「色欲」に身を委ねなかったから正しいとも言えるかもしれませんけど)
愛する妻の姿に変化したエンヴィーによって殺されたヒューズや

100821-5.jpg
(コミックス10巻・80ページ)

 マスタングの死を告げられ、涙を流すホークアイを見たラストはその思いを強めたでしょう。
事実、ここでラストはもう一度、人間を「悲しくて愚かな生き物」であると言っています。
が、前回と違うのは、今度は本当に悲しい表情をしていることです。

 ここが名前と矛盾する要素じゃないでしょうか。
「色欲」の象徴であるラストが「愛情」を知るホークアイ(人間)の気持ちを理解しているように見えます。
理解している、というよりは「愛情」を知っているホークアイにどこか憧れているのかなとも思います。
なぜそう思ったかというと

100821-4.jpg
(10巻・40ページ)

 ここでこう言ったラストは、「生みの親への愛情」を本当に理解できていたのか?ということが引っかかったからです。
「お父様」から受けた命令をホムンクルス達がただ遂行する。ただそれだけの関係で愛情があったかは疑問です。
コミックス26巻でエドとプライドのやり取り(「お父様」が満身創痍のプライドに声もかけなかったこと)を見た後だと、ここでラストが言った「生みの親への愛情」がより空虚なものに思えます。
(これは、「「お父様」も愛がわからないから息子たちに正常に接する事ができなかった」という話にもなりそうですが、それはまたの機会に書きたいです。たぶん。)

 もしラストが愛情を理解していたとしても、それは「色欲」の要素を持っていたからであって、他のホムンクルスは愛情がわかっていなかった=ラストだけが一方的にお父様を愛していた、と考えると哀しい話です。

 「愛情を理解したがっていたラスト」は単行本のラフスケッチでさらに強調されているように思えました。

100821-2.jpg
(コミックス10巻・10ページ)
「なんであいつはこんなまずいモノを吸うのかしら」

 「ソラリス」として付き合っていた相手・ハボックの煙草を吸う事で相手の気持ちを理解しようとしています。
一連の流れを追った後に見ると、この「何気なく試してみた」感じが素晴らしいなと。
しかも「ラストとして」ハボックの気持ちを理解しようとしているのがまた良いです。
「生みの親への愛」だけでなく、「異性への愛」も求めていたってことなのかな。妄想なんですけども。

 こうして見てみるとラストはホムンクルスの中でも人間味に溢れていたと言えます。
それで気づいたんですが

100821-6.jpg
(10巻・91ページ)

 彼女は笑って最期の瞬間を迎えています。
しかも、自身の死を「悪くない」ものであると言ったのは、自分の人生がそう悪くなかったと言ったグリードやラースと同じ。(一瞬でも)人間らしく生きられた/人間の感情を理解できたホムンクルスはやはり好きです。

 再考した結果、ラストは他のホムンクルスと同じ3つの共通点を持っていただけでなく、人間の感情を理解するところまで到達していたことがわかりました。
中盤で退場したとはいえ、他の敵と同じくらい完成したキャラクターであったことがわかって、自分の中での「鋼の錬金術師」の凄さがさらに高まりました。

 「ラスト編」としていますが、現時点では続きが書けていません。
完全版刊行にあわせてゆっくり書きたいなと思っていますので、長い目で見て頂けたらなと思います。

「HUNTER×HUNTER」サブタイトルについて考える(前編)PageTop「7SEEDS」 涼の抱える「秘密」とまだ終わらない「テスト」

Comment

色欲は男女間の性的な欲望。お互いの魂が求め合う、向かい合う二人の感情です。
ラストにとって『お父様』は仰ぎ見て従う存在。ホムンクルス達は肩を並べ同じ方を見る仲間。人間は見下ろし蔑むモノ。どの相手もその視線が向かい合うことはありせん。
最後の時にラストはマスタングという、向かい合い互いの命を欲し合う対等の存在に出会いました。彼女は初めてそこで人間の言う愛に近い感情が理解できたのではないでしょうか。それで笑って死んでいったのだと思います。

太史公曰く、「世俗の師旅を稱する所、皆孫子十三篇・呉起兵法を道(い)ふ。世に多く有り。故に論ぜず。其の行ふ事、施設する所の者を論ずるのみ。語に曰く、『能く行ふの者は未だ必ずしも能く言はず。能く言ふの者は未だ必しも能く行はず。』孫子、龐涓(ほうけん)を籌策(ちゅうさく)すること明なり。然れども蚤く刑せらるるの患を救ふ能はず。呉起、武侯に説くに形勢の徳に如かざるを以てす。然れども之を楚に行ふに、暴を刻して恩少なきを以て、其の体躯を亡ふ。『悲しいかな』

史記 孫子呉起列伝
二重鍵括弧、名無し3

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