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この世界で生きるために  田村由美「7SEEDS」22巻

「世界を知るのは 誰かと分かち合いたいからだ」

 「7SEEDS」22巻が発売しました。表紙の花が大人っぽ見えて、ひとまわり成長した印象を受けます
 チームでいえば夏Bが1番好きで、今回収録されている分はFlowersで既に読んでいたので「あまりテンションが上がらない新刊だな」と思っていたのですが、通して読むと他の巻や今までの展開に引けを取らずちゃんと面白いじゃないか!ということで反省しました
 ちょいちょいグロさもありつつ、上げて落としてくるのが「7SEEDS」だよなと最初の1話の"お肉"で思い知らされた22巻。二局面ながらしっかりと進んでいるので、その辺を上手く捉えていきたいです


○女の友情

 表紙を見てわかるように、22巻で久々に「春のチーム」の藤子とちさが登場します。本当に久々すぎて覚えていない人もいそうなくらいです。そういう時は最初から読み返しましょう。新しい発見があるのでオススメです
 …とか言ってる場合ではないです。藤子は花をしっかり殴るものだと思っていたのですが、殴り合うタイプの友情ではなかったようで予想が外れてホっとしました(ただし、ちゃんと「殴る」のくだりを回収する田村先生はさすがです)

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 この辺の会話はどれもツボで泣きそうになりながら読んでしまいます。20巻続いていますが、女の友情が深く描かれているのは最近になってようやくという気がしました。この3人も、ここでようやく本当の友達あるいは仲間になれたのかなと。前回一緒にいた時とは比較にならないくらい濃く付き合えてます
 ここで花と藤子,ちさを合流させたのは、前の大きなエピソードで主人公A(どっちかというとB?)のナツが、まつりと友情を深めたことに対比されているのかなと予測しましたがどうなんでしょう。ただ、あっちと違って3人ともガンガン突っ込むタイプなので友情の深め方も違って面白いです。と同時に、まつりが周りに気を使える子なんだなと感心したりして
 もうこの三人は離れないでほしいし、友情もこのまま続いてほしいなと。いいトリオです


○新巻さんとあゆ

 「啓蟄の章」では、新巻さんとあゆの美男美女二人旅も同時進行しています
 「鷹さん」と名前呼びするあゆによって、元々の新巻さんの本質だった「かわいい」部分が出てきて、先駆者としての"新巻鷹弘"ではなく、この世界に生きる1人の男性としての"新巻鷹弘"がようやく出てきて、彼もついに動き出す時が来たのかな?と思える嬉しい変化が起きています。「ちゃんと先に死ねるように」なんて悲しいこと言わないで、きっちり誰かと結ばれて欲しいですから
 可愛い新巻さんモードだと、手を繋ぐことにも照れてしまって、今いる全員の中ではナツに次いで照れ屋なのでは!?と思わされるほどです。新巻さんじゅうにさいかわいいです

 どこかズレている二人の旅は微笑ましい面がありつつ、それでいて互いの内面を成長させているから好きです。特にあゆが人間らしさを獲得していっているのがとても良い。181ページの思わず抱きしめようとするシーンは何度読んでも胸にこみあげてくるものがあって、22巻の中では一番好きなシーンかもしれません

 あゆの成長は見逃せない点ですが、個人的にそれ以上に見逃せない点がありました
それは新巻さんの想う「愛」が語られたことです

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かつて美鶴さんへ抱いた想いは……

 美鶴さんへの想いが「本当の愛」ではなかったことを知った新巻さん
 一度は「好き…だなあ」と心の中で言い、15年経った後も花に対して「美鶴さんより綺麗な人はいないよ」と言ったこともあり、かつ、死亡フラグ(ちゃんと先に~)を立てたこともあり、好きになりそうだったのが彼氏持ちの花だったのもあり、彼はずっとこのまま美鶴さんへの想いを大切に最後まで行くのかもと思っていたんですが、吹っ切っていることが判明。まあ、吹っ切れたかどうかは別問題ですが、少なくとも自分の恋がずっと続く愛ではなかったというのは今回確定してしまったわけで、悲しいけど、新巻さんはしっかり歩いているんだなと感じてしまったのでした
 でも、前向きに動くのはいいことだから、良い変化だと捉えないといけません。新巻さんが本気出したら全員からモテそうだから困る……
 

○今後の展開をちょっと考えてみる

 今回の章「啓蟄の章」はいつにも増して、丁寧に展開されている印象を受けます
本誌で22巻収録分より4話先まで読んでいるので、21巻から準備されていたアレやコレが爆発している瞬間を目の当たりにしている今、
 
 22巻の登場キャラに限定してですが、現在フラグが立っているのは

・鷭に会いに行きたい藤子
・秋ヲと繋がりが見えたちさ
・新巻さんを意識している花
・距離を縮める新巻さんとあゆ
 
 この辺でしょうか。ただ、やはり気になるのは、ちさの発言です

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ほとんどコネらしい

 3回目にしておそらくラストとなる過去編「7SEEDSメンバー選出編」(仮)が始まりそうな雰囲気が、自分の中でかなりしています。全員コネだと言われると、気になってくるキャラがいるというものです
 百舌戸首相,ナツのばーちゃん,草家,etc……未来には来ることができなかったキャラクターで気になる人たちはたくさんいます。こうなってくると蝉丸のオヤジなんかも怪しいです
 そして未だに謎の涼のネックレスなど、もう一度過去編をやる要素はかなり揃ってきています。ひばりが佐渡島に着きそうなので、あと2,3冊のうちに開始されるかも?なんて思っていますが、果たしてどうなるやら


 最後はズレた話になってしまいました。が、今は花と新巻さんがこのエピソードでどうなるか、という所に尽きると思います。先まで読んでいるから答えを知っている部分もあるんですけれど、20巻を超えているだけあって「ただ再会するだけ」じゃ終わらない、ということだけは言っておきましょうか
 23巻は今までに置かれていた布石がかなり効果を発揮して、さらに今後の展開が読みやすくなる、そんな展開なのでコミックスで読むのが今から楽しみです

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「7SEEDS」 生まれ変わる花


 出ました「7SEEDS」21巻。
 住んでいる地域の関係と、日曜日挟んでいるので本来なら1日遅れて明日が最速入手の日なのですが、通販の力を借りて1日手に入れることが出来ました。せっかくなのでその日のうちに感想らしきものを書いてみます。
 まとめて21巻感想にしてしまいたかったのですが、久々のキャラ大量出演でかなり内容が詰まっているので、今回は花についてのみ書きます。

 21巻は長かった「小暑の章」が23話にて完結します。
 なんですが、冒頭に収録されている22話目は、夏Bから少し視点を変えて新エピソードの前振りのように花が復活する様子が描かれます。当り前のように生きていると信じていたので驚きはしなかったんですが、別の意味で驚きました。なぜか花が子供に!そのせいで最初に読んだ時は、前々から今後の展開の可能性の1つとして予想していた「花が記憶喪失になる」が現実になってしまったのかなと思ってしまいました(子供=何もない状態に戻る、みたいなイメージ)。
 ただ、部分的に思い出せない所があるようで、それが作中通してずっとなのかどうかでキャラとの関係性が変わってきそうで、予想好きにとってはまた面白い材料をありがとうございますという感じです。

 何で子供のイメージ?と最初は疑問でしたが、同時発売のファンブックを読むと、花が生まれ変わるエピソードだということで初めから歩き出す様子を描きたかったとか何とか。それなら納得です。それを踏まえて読みなおすと、お腹を下すシーンなんかは子供状態だから描けたもので、その様子も楽しそうで(ただ下品なだけではないし、性的でもない)上手く活用しているなあと感心させられました。
 
 話は変わって、子供版花で気になるシーンを1つ紹介。

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田村由美「7SEEDS」21巻・35ページ

 大人の花=本来の花へ戻る前のページの何気ないシーンです。が、今までの子供花の表情と比べるとかなり大人っぽいような気が。大人っぽいというより、子供がしないような表情をしていて、次のページを待たずにもうここから戻っているんだなと思わされます。彼女にとってキーアイテムの父親にもらったツールナイフがきっかけというのがまた良いです。
 いつまでも楽しい気持ちでいてもよかったんだけれど、今までのことを思い出さないといけないのも勿論あって、その瞬間がナイフを見てふっと出てきたのかなと。
 それと、書きながら気付いたんですが、これって貴士先生から花への最後のプレゼントのようなもので、それこそ大人と認めた証なのかもしれないという所まで考えると、彼女を元に戻すにはうってつけのアイテムでさらっと描かれているけど深いシーンなのかもしれません。

 実はそんなに花が好きではないんですが、この新エピソードは読んでいていいなと思えました。理由を考えてみると、たぶん花が世界を肯定して、おそらく今まではなかった自然に対して笑いかけている場面が何度も何度も描かれているからかなと。それこそ今までの分を全部吐き出すかのように、1人でいるのに笑顔でいるシーンが多いです。
花に限らず、キャラクターたちが世界をようやく肯定し始めているので、もしかしたら21巻から作風がガラっと変わって明るいシーンがこれからも増えてくるのかなとすら思えます。
 自分は面白く読んでいたので、作中キャラの気持ちが根本的な部分で後ろ向きだというのは見落としていた視点だけれど、前向きに新しい世界を捉えるだけでこんなにも変わるものなんですね。
 花は本来なら探検大好きで、出会うもの全てが目新しいならワクワクしていたはずで……が「はず」で終わらずに、ここでリセットされてちゃんと描かれて、ここでまた魅力的になるのは凄いなと。

 花が魅力的になったと言えば、自分の短所を自覚したのもそうかなと。
 出来る女性として描かれていたのを、安居たち夏Aに崩されたわけですが、それでも負けじと付いて行く強い気持ちのせいで、なかなか弱い部分が見られなかったのが花だったなとまたここで気付かされるという。
自分と比較して、相手の優れたところを素直に認める描写も増えている気がします。今回は動物の運動能力でしたが、これから先は人間相手にもそういうのがあるといいな。

 友達がいないというのはナツとリンクする部分で、でも理由は違っているのが面白いなと(ファンブックにあったように田村先生自身が2人は仲良くなれるのか?と心配しているのも面白い)。
21巻で気付いた所だと、他にもナツとのリンクがあります。

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田村由美「7SEEDS」21巻・126ページ
花の作ったザル。大漁!

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田村由美「7SEEDS」12巻・122ページ
ナツの作ったカゴ。カゴ?

 この差……成長するナツと、欠点を自覚した花がじわじわと近付いている感じはありますが、やはり花は凄い女性だなと思わされる比較です。
 再生による笑顔の増加と、欠点の自覚によって新たな一面が部分が引き出されつつ、まだ凄さを損なわないうえに、ナツとの関連性も描いて主人公としての魅力を一段階上げてきたなというのが21巻の花に対する印象です。このままもっと好きになれるように読み込んでいきたいです。
 
 次巻の引きがまた絶妙で、まだエピソードの導入部だけれど続きが気になります。もし本当にあのキャラなら、前に言っていたようにぶん殴ってくれると嬉しいです。花も自覚したことだし、初めての親友になってくれるといいな。

「7SEEDS」 涼の抱える「秘密」とまだ終わらない「テスト」

隕石落下による天変地異から人類を救済するため、政府が考案した「7SEEDS」計画。
夏のBチームはAチームから離脱した二人と合流し、航海にでた。
船上では命に関わるトラブルに幾度となくあうが、それはAチームの二人が仕組んだ"テスト"だった。
緊迫する状況下で、己の力が試される――!!
(単行本裏表紙より)


「7SEEDS」18巻です。
前の巻から引き続き夏Bチームの試練が続きます。
「テスト」と称しているせいか、夏Aの選抜テスト編と同じように「曲名」がサブタイトルになっています。
ただ、夏Bは一般人からの選出ということで、夏Aの時と違って邦楽のヒット曲であるというのが面白いです。
と言っても、知らない曲もあったので検索してみたところ「人形の家」というタイトルの曲は戯曲にも邦楽にもあるみたいです。
ちょうど安居が「茂ともう一度ここを登る」と決意を固めた回なので、やっぱり夏Aの二人の転機になりそうだなとか深読みをしてしまいます。

どっちかというと、「テストだから」じゃなくて「夏Bにとって重要な局面だから」こういうサブタイトルになっていると思ってるんですが。終わってみないとわかんないですけど、涼と安居にとっての転機であると同時に、危険な目に遭った夏Bの成長も兼ねてるので、「テスト」じゃなくなったとしても重要なエピソードであるはずです。
(まあ、7SEEDSで重要じゃないエピソードがあったか?と言われると無いんですけども。)


今回は涼について詳しく書くので、他の面々については簡単に済ませてしまいます。
えーと、うん、俺はチームでは夏Bが一番好きなんですが、中でも蝉丸が大好きなので本当にごちそうさまでしたって感じです。
ナツに対する想いが本人も無意識のうちに膨れ上がっていて、誰も聞いていない所で「まってろナツ」とか言っちゃうのはたまらんです。
螢にも笑われるレベルまで行くとは思わず…ホント可愛いな蝉丸は。
という感じで、蝉丸が好きなだけに18巻の引きが不安でしゃーないです。
ちなみに撃った撃たれたではなく、ケガの方です。腕をよく見るとケガしてすぐに気づいた感じなので「何かいる」という蝉丸のカンは当たっているのかなと。

あとやはりナツも好きなので余計に気にしてしまいます。
以前書いたエントリーで「ナツの育ちが気になる」と言ったこと(ナツの祖母について)を頭の片隅に置いてみると

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(18巻・107ページ)

涼より早く船体の傾きに気づいたのは見過ごせません。
(時系列がわからんので、もしかしたら同時か、涼の方が早いのかもしれませんが)
「わざわざとろくさいナツに"気づく"役割を与える」意味を考えると、やっぱり何かあるのかなと思ってしまいます。
船の外側で気づいたのが夏Aの涼なんだから、それこそ数歩前を歩いている安居でもいいはずなんですよ。
なのに、ナツが気づくということは……うーむ、やはり気になります。

それとナツの「あたしを食べてもいいからナッツ(飼い猫)に助かって欲しい」という考え方は、「未来に行くのは安居だ」と言って自分の命を捨てた茂に近いものであり、この辺が安居を救う鍵になるんですかね。
安居に関しては「どうなれば救われるのか」がイマイチ見えて来ず、見落としてはいけない要素があるのに上手く繋がってくれません。誰か安居について書いてほしいです。
とりあえず、「テストの意味=過去の世界で生きた意味を見つける」ことと「自分の落ち度を自覚すること」は大事なのかな。全部大人のせいだ!って言ってるのは間違ってるんでしょうし。


○涼の抱える「秘密」とは

さて、18巻で気になる点と言えば、螢に「秘密をかかえてらっしゃる」と言われた涼についてです。

と、その前に涼の変化について少し触れておきましょう。
今回のエピソード「小暑の章」は「夏Bのテスト」になっています。
この「テスト」を始めたのは他ならぬ涼と安居でしたが、安居は過去の後悔を思い出し、いつの間にか「まだテストは終わっていない」と錯覚してしまいます。
そのことに気づき、何とか正常にしてやろうとしていがのが涼でした。
が、涼は自身が選択を誤った(と貴士に言われた)船を目の前にすることで、「テストは終わっていないのではないか?」と思うようになります。

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「まだ試されてるんじゃないのか…?」

ここで注目したいのが安居と涼のテストに対する思いの違いについてです。
安居は「茂を助けられなかった後悔」が残っているので「テストが終わっていない、もしくは、やり直したい」と思っています。
一方の涼は「選ばれるには各々に与えられた試練をクリアしないといけない」と思い込んでいました。事実、涼は「オレのテストはなんだ」と言っています(9巻・10ページ)
(これは源五郎や鷭を見て自覚したことで、このことを踏まえると涼は全員に気を配っていてリーダー気質なんだなと思わされるんですが、今は置いておこう。余談ですが、今回のエントリーを書くにあたって読み返したら涼の優しさが各所で垣間見えてかなり好きになりました。)

つまり、生き残るのが「テスト」ではなく、それぞれに用意された「テスト」をクリアする≒自分の役割?を知ったうえで生き残ることが重要なのだと涼は解釈していたように思います。
涼は自身の「テスト」を「貴士先生を殺すこと」であると船の中で知るのですが、ギリギリのところで「殺す」という選択ができませんでした。
その結果として、茂の最期の瞬間に居合わせることになり、そこで「茂を手に掛けるのが自分の役目である」と自覚し、「オレはできるんだぜ」と自己暗示をかけてまで己の役目を全うしようとします。

全てが終わったあとに「オレがやった」と言い、自分の役目を果たしたように見える涼ですが、茂のロープを切断する=役割を実行するシーンをよく見てみると

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(9巻・111ページ)


実は涼はここでも何もできていなかったことがわかります。

コマの流れだと茂が上で涼が下になっていますが、この時の位置関係はコマとは逆で茂が下で涼が上。
つまり、同一のコマに「涼が何かに気付くコマ」を中間点の代わりとして挟んだわけではなく、ちゃんと時間が流れている3コマになっています。
なので茂が切ったのが先になります。
このことから、涼は「自分に用意されたテストを乗り越えていない」ことがわかっているため「テストがまだ続いている」と錯覚してしまっているんですね。

さて、ここで一端話を戻しましょう。
涼だけがいる場面で螢が「秘密」について言及しているため、夏Aの誰かに対して隠していることのような気がしています。
(花を行方不明にした原因を作ったであるとか、他のチームに会っているとか色々ありますが、それは安居と共有していることなので、「涼だけ」に言う必要はないはず。)
なので、安居に隠している、というか言っていないこのことがそのまま「秘密」なのかもしれませんが、「茂は自分でロープを切った」と言って安居の心が救われるかと言ったらそれは無いので、これではないと思っています。
安居が涼を恨んでいるならともかく、どうしようもなかった場面ですし。

まあ、例えば、茂に似たナツを救う事で安居の心が多少晴れて、でも茂を救えなかったことを悔いている時に、「茂が自分でロープを切ったのは、自分の代わりに安居に未来に行って欲しかったから」という所まで話せば意味はあるのかもしれませんが……これを話して物語が大きく動くことはなさそうな気がします。

というわけで、わざわざ個別に話を設けたんですが結論はわからんということになります。


○涼にとっての「テスト」とは

せっかく「テスト」についてちょっと語ったのでもう少し掘り下げましょう。
結論から言うと「涼が試されていたのは"判断力"ではないか?」ということです。
(テスト終了後に貴士が「未来に行ったらそういう判断を間違うなよ」と言ってるんですが。(9巻・114ページ))

オトコでも読める少女マンガのいづきさんが18巻の感想で仰っているように、無意識のうちに「虹子なら行かないだろうな」と言ったり、
(虹子が涼に向かって「行かない」と言ってるシーンはちゃんとある。10巻66ページなど)
危険な場所には行くべきではないと言ったりと、自分の意思とは無関係に、判断せずにとにかく危険を回避しようとしています。
(ただ、実際は安居が心配であったり、まつりを放っておけないと思って行ってしまうのが涼の良い所なんですが。マジでかっこいいです。)

危険回避以外の話だと、テストの時に貴士に対して「あんたを殺せば加点だったのか?」と他人に聞くことで答えを求めていたり、
茂を見捨てるのが自分の役目だと思い込む=深く考えずにそう決めつけている、といったように、
涼は自分で考えて答えを出せなくなっているような気がします。

涼は18巻で、まつりとの会話から何かヒントを得ます。
「危険は回避すべき」と言った涼に対してまつりが「行ってみないとわからない」というようなことを言い返しました。
これは「危険でも行ってみよう」って話ではなくて「危険だから行かない、じゃなくて自分で考えてみようよ」って話で、涼に必要なものなのではないかな、なんて思うわけです。


こんな感じで、涼についてちょっと掘り下げてみましたがどうだったでしょうか。
今回、涼について書くにあたって読み返してみると、実は優しい奴でリーダー気質なんだなということがわかり、一気に涼のことが好きになりました。
男キャラだと蝉丸がブッチギリだったんですが、ここ数日で涼がかなり良い所まで来ているので、19巻以降の展開次第では1位が入れ替わる可能性も大いにありえそうです。
非常に魅力的なキャラクターなので、こんなに言うほどか?と思った方はぜひ涼の一挙手一投足に注目してみてください。良いシーンがいっぱいあるはずです。

あ、個人的には涼×まつりはアリだと思っています。


【関連記事】
「7SEEDS」で気になる7つのこと(前)
「7SEEDS」で気になる7つのこと(中)
「7SEEDS」で気になる7つのこと(後)

こんなの書いたくせに、7つの富士と方角の関係には全然気がつかなくて、18巻序盤で涙目になったのは言うまでもありません。


もしよかったらでいいので、「7SEEDS」について詳しく書かれているサイトさんがあったら拍手コメか何かで教えてください。
こういう作品は色んな人の感想を読むのも楽しいので。

「7SEEDS」で気になる7つのこと(後)

コミックス17巻までのネタバレを多大に含みますので、まだ読んでない巻がある方は注意してください

・「7SEEDS」で気になる7つのこと(前)
・「7SEEDS」で気になる7つのこと(中)
の続きになります。

無計画なせいで3つになってしまってすみません。
残り2項目は、これからの展開に絡んでくることなので予想・妄想が多くなりますがご了承ください。


6:「災いの龍」が眠る地

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(12巻・130ページより)

12巻でひばりが語った「草家の歴史について」のコマ。
ひばりの祖母(を始めとする歴代の草家当主)は政治家や社長のようなお偉いさんに「ご神託」を授けていたそうです。
もしかしたら財界から7SEEDS計画に出資者がいたのは(その2でちょっと触れてます)、
百舌さんが外部に言ったからではなく、草家の神託によって知りえた人がいたからなのかもしれません。
そもそも政府の極秘プロジェクトであって、外部に漏れて大事になったら大変ですし、
「政治家で協力的だったのは百舌戸家と鯛網家だけ」と百舌さんが言っていたように信じている人が少なかったので、
それこそ「先祖代々お世話になっている草家の神託だから信じた」財界の人がコンタクトを取ってきて、
お金を出すからシェルターに入れてくれと言ってきたのかもしれません。
それか、もっと前の話で、
百舌さんの祖父・百舌戸大臣が草家に神託を受けて7SEEDS計画をスタートさせたという可能性もありそうです。
(同じく、鯛網家も「神託」で信じて、ちさを未来へ送ってくれと頼んだのかも。)

ちなみに、百舌さんは赤ん坊の頃のひばりに会っているそうです。(13巻10・11ページより)
その時に草家の当主は「この子(=ひばり)を未来に行かせたい」と言っていたみたいで、未来の時点で12才のひばりが赤ん坊の頃に会っているということは、少なくとも世界滅亡の12年前に草家はその事実を知っていたということになるので、やっぱり草家の神託によってプロジェクトへ財界からの出資がが回ってきたと考える方がしっくり来るのかな。
あと関係ない話ですが(前)で言った「花と接触を断っていた」件は冷凍睡眠に早めに入ったからではないのは確定しましたね。やっぱりギリギリまで根回ししてたのかな…?
うーん。百舌戸首相のエピソードへの期待が膨らみます。

それと気になるのが「災いの龍」についての言い伝えかなと。
これ、場合によっては岩の下に何かあるんじゃないか?と思ってしまいます。
場合によってはというのは「世界崩壊の予知はいつからできていたか?」ってことです。
もし万が一、龍を封じたと言われている平安時代からこの日について予言があったのならば、この龍の眠る地にはとんでもない物が隠されていたりするんじゃないでしょうか。
百舌さんが聞いた当主の話だと、ひばりは「大いなるものに守られて導かれる」そうで、
しかも「信じて託す」という言葉を伝えられているくらいすから。

そうそう。肝心の場所は佐渡ヶ島で確定しているみたいです。(16巻の21~24ページ参照)
シェルターの話で出てきてない沖縄だと思っていたんですが、完全に思い違いでしたとどうでもいい事を言っておきます。
最新17巻までだと
・花:父の言っていた「ここを訪ねてくるといい」という言葉を思い出す
(ただし、現在行方不明)

・角又、ひばり:ひばりの発言で向かおうとしている(と思う)
と、3人だけが目指すことを計画できる立場にいます。
が、蛍も知ってるので、彼女が行こうと言えば夏B(-百舌、嵐)と安居、涼もそこへ行くことができますし、そういえば百舌さんも実際に行ってるからわかってますね。

予想ではここが最終目的地で全員集合すると思っているんですが…まだ先は長いかな
それと、余談ですが佐渡ヶ島は水産物が豊富らしいです。
ナツの祖母が住んでいたのは漁港のある町なので…可能性はちょっとあるかな、なんて。


7:嵐と花の再会は?

こっから全部想像です。
再会がいつになるか?というか、気になるのは本当にこの2人がくっつくのか?ということかな。
というのも、花→新巻さんという一方的に向きかけていた気持ちが16巻で双方向になったからです。
しかも、花が戻ってきたら抱きしめると想いを固めた矢先の別れだったので、次に会った時にどうなるかが非常に楽しみです。
が、新巻さんはその後「自分の全てをコントロールできるようになる」と言って常時賢者モードになることを目指し始めてしまったので、抱きしめることも止めようと考えてるかもしれないんですけど。

もし「抱きしめる」約束が活きているなら、
花が次に会うのが新巻さんか嵐のどっちか?で行く末が変わってくるのかなと。
新巻さんは賢者モード宣言の時に「ちゃんと先に死ねるように」と、自ら死亡フラグを立ててしまっています。
それを花が生きて欲しいと言うことで繋ぎとめられるかどうかになってくると思うんですが、
その為には花が嵐より先に荒巻さんに会わないといけないんじゃないかなと。
花が嵐と会って幸せになっていたら、新巻さんはもう死ぬ覚悟を固めてしまうのでは、ということですね。

でも、先に新巻さんに会ってお互いの気持ちが通じるとなると嵐が可哀想なことになります。
(嵐はいい人すぎるから、花のことしか見ていなくて17巻時点で他の相手候補すらいない)
考えられる最悪のタイミングはやっぱり
新巻さんが花を抱きしめて、それを花が受け入れた瞬間に嵐がその場に到着するパターンかな。
嵐が1度だけ新巻さんに会った時は、最悪な印象を持ってしまったので、それが継続するならこの一点かなと思うのです。
そうなると安居と涼以上にヤバい人物になりそうですが…

一行でまとめると、
「花の行動次第で新巻さんが死ぬか、嵐の心が死ぬか」という話でした。

7つ書いてきた中で一番気になってるのはここで、皆さんがどう思ってるのかもこれが一番気になってます。


こんな感じで7つ書いてみたけどいかがだったでしょう?
(前)で言った涼が誰も殺してないって話が書けなかったので後悔が残りましたが、今の自分が気になってる7つのことを「7SEEDS」好きな人に読んでもらえて、ちょっとでも共感してもらえたら嬉しいです。
コメント欄は空けておきますので、「俺はこれが気になる」とか「私はここはこうだと思う」というのを気軽に書いてもらえればなと思います。
3回に渡ってお付き合い頂き、ありがとうございました!

「7SEEDS」で気になる7つのこと(中)

コミックス17巻までのネタバレを多大に含みますので、まだ読んでない巻がある方は注意してください

前編の続きになりますので、併せて読んでください。

では残り4ついってみましょう。

4:気になる「過去」の人たち

「7SEEDS」には、夏Aの選抜過程と、シェルター「龍宮」でのマーク達の生き様を描いた、2つの過去編があります。
そのうちの「龍宮」編は「世界崩壊の後の人々」にスポットが当たったエピソードでした。
そこでは、百舌と親しい仲にあり計画にも深く携わった花の父・貴士の最期が描かれており、
(卯浪が夏Aのサポート役として、)百舌が夏Bの一員として未来へ来たことから、過去の時系列では、計画の重要人物については一応の決着が付きました。
が、読み返してみるとどうも気になる人が2人ほどいたので挙げてみます。

・百舌戸首相

百舌さんの伯父にして、世界崩壊時の首相。
「祖父と伯父が計画の大筋を立てて、自分が方向性をまとめた」というようなことを百舌さんが言っていたので、「7SEEDS計画」における重要人物であることがわかります。
で、何でわざわざピックアップしたのかというと

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(9巻・118ページより)

顔が描かれていないからです。
百舌さんとそっくりなら普通に描けばいいし、そうでないにしても顔が重要じゃないなら隠す意味はないと思うんですよ。
なので、既出キャラの誰かに似ているのかな?と思ったり思わなかったり。

それともう1つ気になることが。
百舌さんの計画だと「滅びの時」に首相になることが決定しており、それまでは暗躍していなくてはいけないとのこと。
つまりこれは「世界崩壊時に"首相"というポジションにいなければできないこと」があるということです。
ただ単純に「日本各地のシェルターに国民を出来る限り避難させること」なのかもしれませんが、首相の顔が出てない以上、崩壊前後にまだ1つ何かがあったのではないかなと睨んでいます。

ただ、首相について描くなら「他のシェルターは本当にあったのか」が問題になるわけですが、これは「あった」と考えていいのかなと。
根拠としては、10巻でサルくんが「他のシェルターとの連絡は既に途絶えていて、自分が嘘の映像を作っていた」仲間に告白するシーンで
「1ヶ月前から他のシェルターと全く連絡が取れない」
「首相のいる関東のシェルターとも」

という発言をしていて、最初の頃は連絡が出来ていたみたいであったり、
後は貴士の「ここのシェルターだけを封鎖する」、「知り合いのいない関西にしてもらった」であったり、
秋ヲが見つけた「他のシェルターの住民名簿」なんかが実在を証明しているのかなと。

(追記)
それと、8巻で涼が百舌さんに
「計画の全貌を見せろよ。どうせオレが未来へ行った後は役に立たない情報だろ?」と言った時に百舌さんは沈黙しています。
この時点で百舌さんが自分で行くことは決まってないですし、花も生まれていないので、考えられるとしたら「死神」のことになりますが、それが「役に立つ情報」かと言うとどうかなと思うので、もしかしたら明かせない情報がまだ何か残されているのかもしれません。
―追記ここまで―

…ってことで、首相の話はいずれやるのかなと思いました。
(百舌さんの回想程度かもしれないけど)


・ナツの祖母

これまた「顔が描かれていない」のが発端なんですが、
ナツが2巻で「事あるごとにおばあちゃんに会いに行かされた」と語っているのが怪しいかな?と読み返していて思いました。
ナツの記憶の中の両親は優しい人で、祖母に会いたくないと言えば聞いてくれそうなんですが、それでも「会いにいかされた」のです。
ということは「会いにいかないといけない理由がある」からで、ひょっとしたらナツの祖母は意外と大物だったのではないかなと。

ナツの特徴として「目が良い」「耳が良い」「鼻が良い」というのがあるんですけど「祖母に会いに行かされる」ことによって人為的に鍛えさせられたなら…?とか考えてしまうのです。
…ただ、「人の目を見て話さないのね」と牡丹さんに言われてしまって、実際その通りなのも過去、および未来での初期のナツの特徴なので
おばあちゃんの顔を見て話せなかったので顔も覚えていないって可能性もありそうですが。

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(12巻・128ページより)

でも、牡丹さんやひばりの顔は記憶に残っている(=目を見て話せないが、顔は記憶できている)し、
ナツが前を向き始める12巻で再び祖母のことを思い出しているのに、全身が黒塗りで描かれているのがやっぱり怪しいかなと疑ってしまいます。
「嫌いだから顔も覚えてない」なら一言そう描けばいいのに描いてないということは…

ナツが「地理に強い」という設定持ちなのに、故郷の位置が明言されていないのは
6で語る「あの場所」と関係があったりとかしないですかね。
そうすると一気に繋がってくるんですけど、さすがにそれは運命的過ぎてないかな。


5:作為的に選ばれた(かもしれない)人々

まず羅列

○春
・花:計画の重要メンバー・貴士の娘
・ひばり:計画に協力した草家の一族で、本家跡取り。皆を最終目的地(仮)に導く役
・ちさ:計画に協力的だった政治家・鯛網家の娘

○夏B
・嵐:花の彼女(貴士が選出?)
・蛍:草家の一族(分家)。ひばり
・百舌:計画の最重要人物。自ら未来へ行くことを志願

○秋
なし?

○冬
・新巻さんと吹雪:野球繋がりでセット選出?


で、個人的に怪しいと思ってるのがさっき書いたナツと、あと秋チームの朔也です。
政界では、百舌戸家以外で唯一協力的だった鯛網家について非常に気になるんですが、
ちさの出番が全く無いので今回はパスします。
17巻まで出てるのに、実家が金沢くらいしか情報がない…

で、なんで朔也が気になったかというと、
花の親が貴士、つまり安居たちにとっての「貴士先生」であると知って激怒される展開の辺りで

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(15巻・61ページより)

「ボクの親もスゴイから」なんて言ってます。
花の親は計画の重要人物である、と知った後でも自分の親を「スゴイ」と言えるくらいには朔也の親はスゴイのです。
ここで、百舌さんが13巻で言っていた
「政治家で協力的だったのは百舌戸家と鯛網家くらいだ。あとは財界の財界絡みなのかな?なんて思いました。

だからって今後、朔也くんが重要人物になるか?というと無いでしょう。
けど、さっき言った百舌戸首相絡みでもう1回「過去編」があるなら、出資者が一同に会するシーンなんてのがあって、その中に「八巻」という苗字のキャラクターがいるかもしれないな、なんて思うのでした。
(あと気の強い「岩清水」ってバーさんもいたりとか、妄想ばっかり膨らむのです。)

そうそう、朔也の苗字は「八巻」というのでした。
これを言わないと八巻さんが後で出てきてもわからんものな。


今回はここまで。
2つと少なめで、しかも2つ目が短くてすいません。後編に続きます。

「7SEEDS」で気になる7つのこと(前)

コミックス17巻までのネタバレを多大に含みますので、まだ読んでない巻がある方は注意してください

この間の更新で「BASARA」について触れたら、
久々に「7SEEDS」を読み返したくなって、読んだら更新したくなっちゃったので、作品にちなんで「7つ」の気になることについて書いてみました。

このエントリーの正しいタイトルは「俺が気になる7つのこと」なので、「7SEEDS」ファン共通の話ではないです。もし僕わたしの気になることが文章の中になかったらコメント欄に「これも考えろや!」と残していってください。
ではでは、7つ書いていきますので、好きな人は見ていってくださいね。


1:「死神」の話

ヤマカムさんの感想を読めばOK…というのは冗談で、
読み返して気になった点があるので「俺説」を書いていきます。

花が初めて百舌さんに会ったときに「消えろ死神」と言われていたり、
未来に行く前の虹子に「要さん(百舌さん)が死神になるの?」と言われていたりと
「百舌さん=死神」が作中キャラの認識ですが、作中の順番に見ていくと、ちょっと疑問が浮かんできました。


7s001.jpg

(7巻・94ページ)

「全体の中の一部が優秀ってのがバランスがいいんだよ。
…まあその場合、「死神」をどこかに1人入れるべきだと思ってる


計画発案者の百舌さんがこう言ったのに対して、
貴士は「その説には賛成しかねる」と言っています。
この言い方からして、貴士は「死神」が何たるかについてわかっているようです。
それに、この時点ではまだ安居たちは最終テストを受けておらず、未来に行く直前にあんな風になってしまうとは思ってもいません。
つまり、百舌さんは7巻で「死神」について語った時点では、
安居たちが「優秀でない全体」の脅威になるとは考えていないし、
未来へ行く安居へ向けて、「頑張れよ!」と言った時点では、自身も未来に行くことは全く考えてないと思うんです。夏Bについて思いついたのは後の話ですし。
(「死神」になるのは自分の役目だと後に決意したなら話は変わってきますが…)

そして、「優秀な一部」に「その他大勢の普通の人」の誰かが対抗できるか(=「死神」になった時に「優秀な一部」の命を刈り取れるか?)というと、それは無理な話です。
だから「死神」は「優秀な一部」の中、つまり夏Aの中にいるんじゃないかなというのが俺説です。
優秀な一部だけが生き残っても意味がないから「死神」の手で根絶やしにして欲しい、という意図なのか、
優秀な一部だけ残ればいいから、いざとなったら一般人を放置して殺してくれる「死神」がいた方がいいという意図なのかはわかりませんが。

うーん、あんまり上手く纏められていないんですが、
1:「死神」を入れる計画がある(最終テスト開始前)
2:夏Aの7人がとして選抜されるも、百舌の予想とは裏腹に安居たちは絶望している
(数年間の空白。後悔と反省と共に計画の再調整?)
3:数年後、夏Bを作り「花と安居たちを見届けるために」未来へ行くことを決意

こういう順番で並べた時に「死神」が百舌さんなら色々とおかしいと思うんですよ。
安居たちを見て「死神」が必要だと思うなら(=2→1→3の順なら)疑いなく百舌さんがそうなるんでしょうけど、
この話はそもそも"「死神」が必要"というのがスタート地点なんです。
それで、さっきの貴士の台詞を考えてみると「わざわざ選抜する7人のスペシャリストの中に「死神」を入れてどうするんだ?」みたいなニュアンスになるのかなと。
ってなわけで、2と3にやや話が続きます。

というか、そもそも「死神」という言葉の響きが「積極的に殺しにいく」のではなく「傍にいるだけで人が死んでいく」イメージの方が強いかなと思うので、百舌さんが「なろうと思ってなれる」ものではないのかなと。

決定的な説がないので、百舌さんがまんま「死神」な可能性の方が高いですけどね。
虹子の予想が合ってれば確定ですし。


2:百舌さん

死神じゃない説が合ってるとして、じゃあ百舌さんって何なのさ?と言う話。
結論から言うとわかんないんですが、
9巻で貴士に言われたように「見届けるため」以上の意味はそんなにないのかなと。
「安居たちを」というのもそうだし、「花を」というのもそうだし、「自分の計画の成否を」というのもそうで、もう本当に「見る」のがメインなんじゃないでしょうか。
(生きようとしてる人には手ぐらい貸してるので、最低限のことはしてますけど。)
何でかというと、安居が十六夜さんを撃っても「見てた」だけで、介入してないことからわかります。
「死神」として安居たちを葬る覚悟で来たなら、十六夜さん(=一般人)に手をかけた時点でアウトだろうから、チャンスを狙って1人ずつ始末すればいいのに、彼らの近辺を探る気配すらありませんし。
自分が正しかったのか、間違っていたのかは安居たちの生き方が証明してくれるとでも言えばいいんでしょうか。
「安居たちに撃たれて死ぬならそれもいい」し、もっと言うと「安居たちが残りのチームを皆殺しにしてもいい」とすら思ってそうです。

ただ、読者的には「愛」だの「慈しみ」だのを知ってほしいとは思いますが…どうなんだろう。
まだ死人が出るとしたら間違いなく候補筆頭ですよね。

7s003.jpg

(13巻・27ページ)

あと、百舌さんといえば「嵐と花の関係を知らなかった」のが謎です。
夏Bの一員として同行する時、もしくは未来で再会した時のことを考えて「花に物心が付きはじめた時」にでも彼女の元を離れて、接触を断っていたんでしょうかね。
何にせよ、花に彼氏がいると知った百舌さんが発狂しなくてよかったです。

ああ、ちなみに検索すればわかることなんでわざわざ言う必要ないかもしれませんが、
「百舌鳥(百舌)」は秋の季語ですが、下の名前の「要」は夏の季語で、ちゃんと夏チームの一員になる資格はあったみたいです。

それと貴士の結婚話と絡んで、年齢が気になるんですが…これは後のほうで書くかもしれません。


3:虹子

夏Aに「死神」がいるなら誰よ?という話になった時に怪しいのが虹子かなと思いました。
読み返してみると、色々と謎が多いのです。

初登場は7巻で、安居たちが15歳になった時です。
単行本の表紙が13歳以下の安居たちで虹子もちゃんといるので出自に謎はないんですが(ミスリードかもしれないけど)、気になるセリフが9巻にあります。

7s002.jpg

(9巻・67ページ)
「どうぞ行ってらっしゃい。また独りになるだけのこと」

その後も独りになったことについて「昔に戻っただけだけど」と言うシーンがあり、涼との出会いや一緒になったきっかけも語られていないことから、涼といる以前、つまり生まれてから15歳まで彼女はずっと「独り」だった様子。
どうも虹子にはまだ語られていない背景があるようです。

考えすぎるなら、安居たちの「虹子とあんまり喋ったことがない」が「15歳までいなかったから」という可能性もあるのかなと。15歳までいなかったじゃないにしても、途中投入とかそんな感じだったり、あるいは隔離されていたのかもしれません。
で、彼女は卯浪が「用心深い」と評して、そのお陰で生き残って選ばれたという見方ができるけど、百舌さんと貴士くらいしか「死神」の存在を知らないなら実は彼女は「死神」として選ばれていたと取ることもできます。
というのも、選ばれ方を見てみると

・安居:自分で考えて、周りを導くリーダーシップ
・鷭(ばん):皆を助けとなる医者としての高い能力
・源五郎:動物の扱いが上手く、知識もあり、時には殺す判断もできる動物のスペシャリスト
・あゆ:植物の知識が豊富で、注意力も高い
・小瑠璃:誰よりも風に精通し、グライダーで迅速な行動ができる
・涼:大局のために周りを切り捨てる判断力
・虹子:用心深い。独りでも生きていける力がある


こんな風になっています。
小瑠璃がとても微妙になってしまったし(「人を信じる」という点でとても協調性はあるんですけど)、
涼の能力は作為的に身に付けさせられてるし、後半で書きますけど結局は「誰も殺せてない」んですが
虹子だけ「皆で助け合って生きていくのに必要な力」じゃないんですね。
土と水の知識が凄いってのはありますが、最終テストの終盤で過酷な試練を与える段階になっても、その辺は別に見られていません。

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彼女が助けを求める人を見捨てるシーンでは死者の葬列のようなイメージが描かれていて、百舌さんも「用心深い…のかな…?」と疑問を浮かべています。
で、よくよく考えると「殺さないと切り抜けられない場面」でなくても「殺す」という選択をしているのは虹子だけです。この場合は「見殺し」ですね。
(涼は「助けられる場面」で小瑠璃を助けている。)

「死者の葬列」のイメージもあって、死神説の1つとして既に挙げられていそうですが、選出方法の疑問もあって彼女が「死神」かな、と思うのでした。
さっき言った「傍にいるだけで死ぬ」という条件も満たしていますし。

彼女が「死神」だとしてもそうじゃないにしても、15歳前までの話はいずれ語られるでしょうから今後の動向には注目していきたいです。
最近も涼がロープを切った後に追い討ちするのを言い当てて、やっぱり何もしなかったり(15巻)、
涼が気付かぬ間にどこかに行ったり(16巻)してましたし。
今はお蘭さん達と仲良くなってますが、あれは「共生する時間だから」なんじゃないかなと。
最終テスト前は、周りと関わりはしないにしてもそれなりに上手くやっていたっぽいので、散り散りになる展開が来るまでは様子見といった感じでしょうか。


「死神」の話でキリがいいので前半はここまで。(中)に続きます。

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